2017年5月28日日曜日

【NHK大河連動 ”今日の『おんな城主直虎』”21】 今日はまじめに!領主って「泥棒」なの?



 本日もやってまいりました早虎レビューの時間です。


 元々史実ネタが不足している直虎のことですから、随所に創作脚本をぶちこんでくるわけですが、そこらへんは


 「戦国ホームドラマ」


としてはけっこう楽しめるので、笑って鑑賞することにいたしましょう。



 今日も、あろうことか気賀の繁華街に出かけた直虎さまが、誘拐されてしまうという、戦国史実にはあるまじき展開なのですが、そこはそこ(笑)


 ちなみに今日の直虎様は、薬で眠らされたり、縛られたり、無理矢理咥えさせられたりしますが、ぜんぜんエロい話ではないので、ご安心を!





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 さて、今日の物語のツボとなるのは「領主は泥棒なのか」という点です。


 柳楽くん率いる盗賊団としては、領主さまも農民から年貢米を「権利なく徴収するので泥棒だ」という理論をつきつけるわけですが、直虎もアホですから、かなり言いくるめられております。



 というわけで、戦国における「領主」と年貢泥棒の関係について、ちょこっとお話を。



 まず、この話をひもとくには、古ーい時代のお話。そう!教科書で習った



「墾田永年私財法」


から物語ははじまります。朝廷が「自分でたんぼを開拓したら、あげるよ」と言い出したことに始まり、私たちは


「自分の土地」


 を手に入れることができるようになりました。



 そこで、あなたが、田んぼを開墾して、農業に成功したら、その土地を手に入れることができるようになるわけです。


 これを「開発領主」といいます。開発領主は当然、農業を主にしています。つまりは農民ですね。



 ところが、あなたが仮に田んぼを一人で持っていても、どこかからか屈強なおっさんが現れて「この土地は俺様がいただく!」とか言われてしまうと、あなたはただの農民ですから、勝てません。

 むしろ、土地を奪われてしまうと明日から生きていけませんから、あなたは誰か頼りになる人にすがろうと考えます。


 その時、すがる相手というのは、朝廷からある程度の地位を貰っていて、武装した手下を連れていて、屈強なおっさんがひるむような相手である必要があります。


 なおかつ、その人が都会にいるだけではだめで、あなたが住んでいるようなほにゃらら郡の田舎でも、ある程度名前が知られて力が認知されている人である必要があるわけです。




 で、ちょうどいい具合に、そういう人が地方には名前だけたくさん通っている土地を持っており、そこを「貴族の荘園」と言うのですが、あなたは自分の土地も荘園の持ち主に寄付してしまって


「その代わり、この土地を耕す権利と僕の身分を守ってね!」


ということをこぞってやりはじめるわけです。



 これで原始的な領主とその家臣の出来上がりです。




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 平安時代頃に流行したのが、この荘園領主への寄進だったのですが、鎌倉期以降になると、地方に赴任してきた「中央から派遣された役人」と、地元の開発領主がくっつくことが増えてゆきます。


 院政時代や、源平時代になると「貴族としての身分・役割」よりも、徐々に「武家としての実力」のほうがモノを言うようになってくるので、


「もともと領主だった農民兼土地の権利を持つ本体だった人たち」





「土地の支配と武力行為(土地を守る行為)を武家である地方役人」


に任せて、


「自分達は、現地の土地を守り、農作物を手に入れることのほうを優先する」


ようになります。このあたりから「領主である武士と、年貢を納める農民」が分化しはじめるわけですね。




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 平安時代の「荘園型の領主とその家臣」の実態は、「領主は現地にいない都会の偉い人」という点が特徴的です。


 ところが鎌倉時代以降の「地方役人とその家臣」の実態は「元貴族の武家領主も、地元の開発領主もどちらも現地にいる」ことが特徴となります。


 なので、各地各国各地方を分断した「戦国領主とその家臣団」が生まれ、領地が線引きされてゆくことになるわけです。



 そして、彼らが


「鎌倉幕府の言うことを聞いている間が鎌倉時代」 

「室町幕府の言うことをかろうじて聞いている間が室町時代」

「もはや誰の言うことも聞かねえぜ!というのが戦国時代」


と考えるのもあながち間違いではありません。


 さらには


「元荘園領主やら、元幕府の現地役人やら関係ねえ!おら、むかしっから地場の領主だけんども、おら自身で武士団を率いて戦国武将になっちまうぜ!」


というのが下克上です(笑)





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 さて、井伊家が泥棒かどうかについてですが、井伊家は、平安貴族であった藤原なんとかさんが、何かの縁で遠江井伊谷あたりの現地管理官となり、


 鎌倉時代には、幕府の命令に従って京都の神社の造営に莫大な金を出しているので、現地の支配を認められていたと考えられます。


井伊氏は幕府から「遠江介」(静岡県の二番目に偉い人・静岡副知事みたいな感じ)の位も与えられているので、この地の開発領主は、


「望んで井伊氏に従った」


ことでしょう。



 ところが、いろいろあって井伊は松也の先祖の今川氏に負けてしまい、今川氏が遠江介の位を貰うことになってしまいます。


 で、今川から逆に、井伊は


「まあ、いいけどさ。領地は認めてやらんこともないけど、遠江全部はわしの方が権力者なので、みんながどうしてもワシがいいって言うので、井伊谷だけは好きにすれば?」


みたいな状態になっているのが、現時点というわけ。





 というわけでは結論。井伊は泥棒ではない!


 泥棒なのは、柳楽くんだけよ(はあと)
































2017年5月21日日曜日

【NHK大河連動 ”今日の『おんな城主直虎』”20】 女たらしかスケコマシ? 戦国ホストもしくはチャラ男かゲス武将なる直親さまの評判はいかに? の巻




  しばらく中断していましたが、今日も無茶苦茶面白かったのでつい書いてしまう早虎レビューでございます。

 
 ところで、おんな城主直虎のタイトルは、毎回



 パクリ



になってるのに気づいている人も多いことでしょう。



 本日第20回のタイトルは、「第三の男」ならぬ「第三の女」、前回は「罪と罰」でしたね。



 来週は、「ぬしの名は」らしいです。ひねりなさいよ、もう少し(笑)



 一説には、全サブタイトルが多少のパクリらしいので、気になる人は調べてみてね!





 さて、今日の主役はなんといっても「直親の娘」を名乗る高瀬ちゃん。


 ウィキペディアより「高瀬姫」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E7%80%AC%E5%A7%AB




 一応、史実でもそれらしい人物(直政の姉)がいるというので、ここでその話を持ってくるのはよいとして。


 でも



「スケコマシ」

「すけこまし!」

「スケコマシ!!!!」


 と、直虎アンドしので、叫びまくるというのは前代未聞?!


 なんというすけこまし大河でございましょう。




 亀こと直親が



 井伊に帰ってきた時、「なんでこんなチャラ男になってるねん!」という疑問と懸念がありましたが、



 すべては今日のためのネタ振り



だったのだと思えば、ぎゃふん!(笑)



 直親、あんなに昔は大人しかったのに



  たらしでコマシで、ゲスだったのね!(爆)





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 というわけで、今日のみどころを3箇所。



■ 南渓和尚のボケが笑えない。


■ 人って、共通の敵がいると仲良くなれるのね。


■ 今日は、高橋くん。いい人で理解者です。

  


 楽しく見られる良回でした~。