前回までのふざけた脚本はなんだったのか!とまでにブラックな話に染まった今回は、シリアスでミステリーな名脚本でしたね。
残念ながらBS版の時間に仕事が入っていて、通常の地上派版で拝見した「調略」の回でしたが、タイトルにふさわしい
シリアスかつ、複雑な
物語が展開されて、みなさんの満足度も高かったのではないでしょうか?
騙し、騙され、振り振られ。
なにが真実かわからない、生き残るためには何でもあり、のハードボイルド展開でしたが、
いかにもいい人そうな春日信達や、上杉景勝が翻弄されるさまも哀れで残念です。
前回の戦国大河、「軍師官兵衛」では、「官兵衛虐殺する」の巻などはさらっとスルーして、どちらかというと
義の人、官兵衛ちゃん
を前面に押し出していましたが、今回は腹黒いです。ああ、黒い黒い真っ黒くろすけでておいでー!
堺さんが思わず
「あの人たちが恐ろしい!」
と言ってしまうのもわかりますね。
三谷脚本はすごいです。前回まで「いいかげんでちゃらんぽらんな男、草刈正雄」を演出しておいての、一転
「腹黒さ、MAX」
な今回ですので、 視聴者も翻弄されまくりですね。
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というわけで、今回はネタにツッコミを入れる部分が少なかったので、「大名」の解説でもしておきましょうか。
真田さんたちは、信濃の国人(国衆)ではありますが、 これは、信濃を拠点とする豪族ぐらいのイメージで大丈夫です。それぞれ城を持ったりしていますが、せいぜい村とか、村の集合体とか、郡とかにしか影響力がありません。
それに対して、本来「大名」というのは「守護大名」を指し、室町時代に中央から任命された「守護」がおおむね国を単位として領有し、守護は行政権を中心に実行していただけなのが、警察権・武装権力までも持つように なったことを守護大名と見てよいでしょう。(あくまでもざっくりね)
ところが、守護という資格は、本来は中央から与えられた職分なので、現地で実力行使で領地の経営を行うものが台頭してくると、システム上現地サイドでは、中央の言うことを聞くまでもなく、国に近い単位で権力を持つ現地人が現れはじめるわけで、これを戦国大名と見ることができます。
なので、今回の大泉さんと草刈さんの会話で言うと、
「父上は大名になられるのですか?!」
(「父上は信濃を征服し、一国のあるじとなるつもりなのですか?!」)
「わしは大名になるつもりはない」
(「信濃を支配したいわけではない、信濃は分領支配のままでいい)」
というイメージでとらえるとよいと思います。
これはあくまでも今回の物語の中だけの話で、実際の真田氏がどう思っていたかは別ですが、草刈パパが言うのは
「守護大名は、足利幕府と朝廷の権力下にあって、一国を領有した」
「織田政権下では、幕府も朝廷の権力も無視した信長という人物の権力下で、領地が安堵された」
というこれまでに対して、
「信濃は、上杉や北条というどの主君にも属さず、できればどこからも干渉されないニュートラルな国であるようにしたい!」
という概念だということです。
まあ、草刈パパの言うことですから、すんなり信じちゃダメですけどね。
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